平成27年度

平成27年度の総括

事業推進責任者から

熊本大学医学部附属病院 小児外科・移植外科 教授
猪股 裕紀洋

 本事業2年目となる、平成27年度の活動を総括したいと存じます。
 未だ例をみなかった、肝臓移植を担当する外科医を中心とした医療人養成プログラムを六大学で運用し、平成27年度は、その活動が軌道にのり、また、肝移植研究会や移植学会を通じて、肝移植を担う専門医療者の集団に本事業が認知され始めた年度となったと思っております。
 外科医は新たに予定を上回る6名を新たに加えて10名の履修生となり、他施設や指導施設での手術の実習における相互の行き来や、豚を用いた臓器摘出実習、独自主催の講演会、肝移植研究会や移植学会での共催セミナーでの発表討論、などを通してお互いに切磋琢磨しつつ、「同期生」としての連帯感を育んでいるのは本プログラムの大きな副産物と言えると思います。肝移植は近年医師離れが進む外科の中でも厳しい領域で、若手を集めることが困難になりつつありますが、この事業がその起爆剤となり、ひいては国内での肝移植診療レベルの維持向上に寄与することができればと期待しております。
 27年度は、肝移植を取り巻く医療安全上の大きな問題が生じた年でしたが、これをてこに、例えば顕微鏡手術のハンズオンセミナーに共催したり、動物を用いたマイクロ手技練習機材を整備したりしましたし、また肝移植を取り巻く医療安全の討論会をweb上で行う取り組みもしました。外科I期生を中心に、ヨーロッパでの、ヒトの肝臓を実際に用いた分割肝移植のセミナーなどにも参加していただき、臨床的な経験を補完する機会を得ていただきました。
 コーディネーターも活発な他施設訪問の相互実習をこなしていただき、研修の実をあげていただきました。ただ、病理履修生を新たに迎えたにも関わらず、virtual slide systemの整備に時間を要し、ようやく12月に長崎大学でのサーバー利用体制が整備されて、年度内に2回の講演会、供覧勉強会を開催したにとどまりました。よって、病理医の研修は28年度も継続して行う予定となりました。しかし、virtual slide system の有用性、効率性は非常に高いものと感じております。
 次年度は、5年間の中で最も履修生の多い期間となり、各施設は実習者の整理にもご尽力いただくことと存じますが、実習の他にもwebも含めてより活発な講習や勉強会を企画し、年度計画にそった運用を心がけ、多忙な履修生の負担を減らしつつ、参加効率を上げたいと思っております。

平成27年度の個別活動実績

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