令和元年度

令和元年度の総括

評価委員会委員からの意見

兼松隆之先生
 まずは、文部科学省からの交付金支援期間が終了したにも関わらず、SNUC-LTの活動を積極的に継続しておられる実行責任者、猪股裕紀洋先生ならびに6大学関連の皆様の情熱に敬意を表します。
 加えて、熊本大学病院病院長の特段の御支援にも評価委員の一人として敬意を表します。
 さて、今年度も他大学実習が行われ若い外科医も刺激を受けたことと思います。海外での実習ではカダバーでの学修もできたようで、試みとしては高く評価できます。学会活動もそれなりに活発に取り組まれていることうかがえます。
 また、本事業での特徴は肝臓移植病理Web討論会の実施でしょう。臨床肝移植の質の向上には、病理医の果たす役割は大きく大変優れた教育システムと考えます。
 ただ、成果物については数的に物足りません。せっかくこれだけ良い活動をしてあるのですから、広報の意味も含めた執筆活動にも力を入れてもらえたら嬉しく思います。ますますの御発展を祈念いたします。

國土典宏先生
 文科省交付金終了後も履修生の研修がすべて終了するまでこのユニークなプログラムを継続する努力を続けられている猪股裕紀洋SNUC-LT事業実行責任者を始め関係者の皆様に敬意を表します。活動報告を拝見しましたが、限られた財源の中でこれまでの活動をほぼ継承できており、事業継続の意義は充分あると評価いたします。
 あと一年ですべての研修が終了する訳ですが、終了後を見据えてその後の準備が重要であると思います。特にSNUC-LTの成果物である記録やマニュアルなどを是非公開しSNUC-LTの枠外に広めていただきたいと思います。他施設実習、海外セミナーへの参加支援などは肝移植学会に継続的な事業として引き継いでもらうことはいかがでしょうか?真の最終年度の総括としては当初の達成目標を達成できたかについて検証をお願いいたします。また、SNUC-LT履修生のその後のフォローアップも是非お願いしたいところです。本プログラム修了生ができるだけ長く肝移植医療に携わってもらえることが究極の成果であると思います。
 最後に素晴らしい事業の評価をさせていただきありがとうございました。

小西靖彦先生
・年余にわたり、6大学が協働して肝移植を行う医師や、コーディネーターの育成にあたったことに敬意を表します。
・このプログラムが6大学外科の医師育成に資するところが大きかったことは今回の報告によってもよくわかります。
 ▶︎ 他病院での経験がなかなかできなかったという反省の記載もありましたがこのプログラムがなければ訪問する動機はずっと低かったものと想像します。
・このプログラムは、日本の移植医療の層を厚くしたと思います。
 ▶︎ 参加者がさらに交流できるようなシステム(例として学会・研究会の際の集まりなど)を構築されることが望まれます。
・病理検討会は、多くの外科医にとって有益だったと考えられます。
 ▶︎ 今後も継続可能なら、学修の場として続けていかれてはいかがでしょうか。

添田英津子先生
 コーディネーターについては、履修完了されているようで、令和元年度は活動がなかったようですが、強いて申せば、このプロジェクトにつき、コーディネーターの視点から教育をまとめて論文発表してはどうかと思います。すでに学会発表されていますので不必要でしたらご放念下さい。

竹内公一先生
 患者家族の立場としては、脳死臓器移植が一般の医療として普及し、全国どこでも地域差なく安心して臓器移植が受けられる体制を望むところです。そのためには全国の肝移植の拠点病院の充実が必要ですが、SNUC-LTの活動は6大学が連携して肝移植の研究、技術の伝承を行う人材養成を行うことで肝移植拠点病院の充実に寄与するものと評価されると思います。
 今後は、この活動を移植学会が継承し、6大学連携からさらに拡大し、恒常的な人材育成組織を設け、臓器提供病院とも連携し肝移植の全国ネットワークを構築していただければと思います。
 一方、臓器提供は、増加はしていますが、諸外国と比較するとまだまだ少ない現状があります。臓器移植医療が一般的な医療として行われる環境整備のため移植医療の啓発の一層の努力を移植医の先生方にはお願いしたいと思います。

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