令和元年度

令和元年度の総括

履修生の声

外科履修 修了生I
 第4期生として、2017年4月からり週を開始し、学術講演会、肝移植病理web検討会、他施設手術実習、マイクロサージャリーハンズオンセミナー、ブタを用いた脳死肝移植手術シミュレーション、および、ESOTの研修コース、などのカリキュラムに参加してきました。
 学術講演会としては、第35回日本肝移植研究会では、SNUC-LTの連絡会議に参加し、第36回大会には、SNUC-LTとの共催プログラムで、シンポジウム2「生体肝移植におけるドナー手術、レシピエント手術の深化」、パネル2「生体肝移植ドナーの基準」、および第30回肝移植病理検討会に参加して、肝移植の基礎的事項、手術や管理の、各施設に特異な工夫や注意点について学びました。Web病理検討会は、毎回参加するとともに、2018年9月には「生体肝移植後にPTLDを発症しその後急性拒絶反応の経過を辿った一例」を供覧し、急性拒絶と胆管炎の鑑別、について議論のたたき台を提供し、羽賀先生から貴重なコメントをいただきました。
 他施設での手術実習は、2018年3月に京都大学で小児胆道閉鎖症の外側グラフト提供生体肝移植、2018年12月に、長崎大学で腹腔鏡補助下ドナー手術を含む生体肝移植に参加し、さらに、近日熊本大学へも研修予定です。
 肝移植でも用いる血管のマイクロサージェリー研修は、2017年7月に消化器外科学会に際して開催された金沢で参加し、貴重な修練機会となりました。
 ブタを用いた、脳死肝移植シミュレーションは、2017年3月の神戸、2019年10月の福島、で参加し、一人にブタ1頭という贅沢な環境で実習を行いました。肝摘出では、カニュレーションの実際を学び、IVC周囲解剖の修得に貴重な経験でした。レシピエント, ドナー豚の全肝摘出、門脈、静脈再建を術者として経験させていただき、後日別のシミュレーションでも自分としては全く経験のない状態よりは明らかに理解が深まった状態で進めることができ、また、回を重ねるごとに新しい発見もあり、非常に有意義でした。
 手術手技についてテーマを絞って議論学ぶ「Meet the Expert」セミナーにおいては、2018年1月大阪で開催された血行再建テーマの回で、"肝門浸潤を伴う進行胆嚢癌に対して門脈合併切除再建を伴う右肝切除,S4a切除, 肝外胆管切除を施行した1例" を発表し、また、2019年1月、同じく大阪での胆道再建テーマの回では、当科における肝移植時胆道再建、を発表しました。肝移植だけではなく、肝胆膵外科に肝移植手技を導入した手技も含めて、細かい点まで通常の学会ではありえない伝授と議論が続きました。
 2018年2月には、オランダのライデンで行われた、ESOT Basic Course on the SPLIT Liver に参加し、日本ではあり得ない、実際のヒト肝臓を用いた摘出、分割手技の実際を経験しました。この場での、欧米諸国の移植外科医との交流も有意義で、自施設での脳死肝移植分割主義導入にも極めて有意義でした。

 3年間を総括すると、以下のようなこととなります。3年間、お世話になり、ありがとうございました。
 良かった点、感想
他施設の先生との交流が非常に良い刺激となった. 数ある実習はいずれも刺激的でしたが, やはり豚での臓器摘出シミュレーションは非常に有意義であった。  反省、抱負
最終的にも他大学への手術見学の回数が少なかった. 日本においての移植手術というものに対しての見学や実習後の自分へのフィードバックの難しさを感じた。

外科履修 修了生II
 2017年4月から、第IV期生として履修に参加しました。
 他施設への実習としては、長崎大学での腹腔鏡補助下生体部分環摘出、京都大学、および成育医療研究センターでの小児肝移植を学びました。それぞれの具体的手術内容についての学びはもちろん、施設での手技の違いを認識して管理の違いも学べたこと、たくさんの人と情報交換、交流ができたこと、は貴重な経験となりました。
 ブタの実習では、同世代の外科医の手技、技能を知ることができ、肝移植における手技の理解、向上に役立ちました。また、血管吻合を体験することができ、日常、臨床肝移植の執刀機会に恵まれない若手外科医としては、単純に、楽しかった、といえます。
 このほか、学会や勉強会にもこの履修を通して参加しました。Web病理検討会では、移植病理の理解を深めて臨床課題解決へとつなげ、自分自身で移植肝生検の鏡検をするようになりました。
 2回行われたMeet the Expert セミナーでは、これまでの先人たちの知恵や考え方を共有することができ、手技について自分なりの理解を深めることができました。
 ISEMのマイクロサージェリーハンズオンセミナーでは、マイクロドナー血管吻合手技向上が得られ、また、自分自身の手術の際の姿勢について今一度見直す契機が得られました。
 ESOTの実習にも参加し(13th European Donor Surgery Masterclass-、-11th Basic Course on the Split Liver-)、手術期管理と解剖、実際のmultiorgan donorでの摘出を体験し、各国の外科医との交流も図ることができました。さらに、先輩外科医が留学中のエラスムス大学病院も訪問し、腎移植、脳死ドナーの多臓器摘出を経験したほか、学生に対する移植教育の重要性再認識、日本と海外での移植医療の相異を考える契機を得ました。
 全期間を通して、各施設での手技、周術期管理について学べたこと、国内・外における移植を経験できたこと、肝摘出を経験し、手技の向上や解剖学的に理解することができたこと、同世代の先生がたと交流ができ、たくさんの刺激を得ることができたこと、などがこの履修で得られたことと思っています。

ページの先頭へ