平成26年度

平成26年度の総括

本事業の実績・成果 (文部科学省提出実績報告書から抜粋)

【本事業の実績】

本年度は、連携6大学及び指導施設において、教育環境の整備、指導体制の整備、連携の強化等を図り、本年度受入予定の受講者の養成を円滑に行い、また、平成27年3月に、評価委員会を開催し、教育プログラム等の改善を行うこととしていた。
平成26年10月から、まず熊本大学での専任教員と事務補佐員の雇用から事業を開始した。連携6大学からファカルティー委員の推薦を受けて応募した4名の外科医と、2名の看護師(コーディネーターコース)が履修生となった。
各コースのカリキュラムを具体化し、各履修生は、連携6大学及び指導施設を用いて、自施設以外での手術研修や臨床研修等を行った。また、本事業のHPを開設し、関係者専用ページと一般向けページを構築し、情報発信を行った。3月には、評価委員会を開催し、本年度の活動報告を行った。

<具体的な実績>

①各養成コース希望調査 参加者施設の調整
10月までに、連携6大学から、合計4名の外科医の推薦を受け、目標数と一致しており、また各履修生の資質や熱意も妥当と判断して4名全員が採択された。コーディネーターコースは、各施設の看護部門と調整を行い、10月に2名決定された。平成27年に開始となる病理医コースは、平成27年2月に推薦を受け付け、履修生2名が決定された。

②ファカルティー委員会、チューター委員会、コーディネーター(以下 Co)教育チームの発足、設立会議、教材準備開始、プログラム詳細策定、評価委員の選任
10月25日に、ファカルティー委員会とチューター委員会が合同する形で外科医養成コースのキックオフミーティングを行った。評価委員の選定に関しては、9月から選定を開始し、10月末までに内諾を得た。コーディネーター教育チームは計画よりやや遅れたが、12月7日にキックオフミーティングを行った。また、2月には、WEB会議システムを利用してカリキュラムの詳細検討を行った。

③広報連絡のためのHP設置 、調整を行う職員(准教授又は助教、事務補佐員)採用
10月に、履修生やプログラムの調整を行う専任教員(特任准教授)と、事務補佐員を熊本大学に雇用した。11月に、HPを開設し、一般向けページと、履修生や教育担当者向けの関係者専用ページを構築した。

④外科医養成コース及びコーディネーター養成コース開講 実習開始
外科医養成コースの実習は、当初計画どおりに11月から実施可能な体制整備を行ったが、実際の実習については、各履修生の自施設での勤務の調整のため、12月から開始した。豚を用いた臓器摘出シミュレーションも12月と3月に実施した。また、1月には、ヨーロッパ移植学会の教育担当移植外科医を招聘し講演会を開催した。なお、コーディネーター養成コースに関しては、2月に京都地区看護協会との共催講演会を開催するとともに、連携施設において実習を行った。

⑤評価委員会開催
3月8日に、病理コースを含めた全員が参加して、本年度の活動報告を行い、活動内容については評価委員から講評を受け、次年度のカリキュラムの改善に向けた意見交換を行った。

【本事業の成果】

熊本大学で雇用した専任教員と事務補佐員により、カリキュラムの具体化と整備、履修生の実習調整などを行い、有効に研修が機能し始めた。
外科医養成コースの履修生は、自施設以外での手術や術前後管理の実習の成果、臓器摘出シミュレーションや講演会のレポートをまとめて各実習ごとに提出しており、その内容から、学んだ点、自身の今後の課題及び本事業のカリキュラムへの提言などが得られ、蓄積されている。また、履修生は、実習や講演会を通じ同期意識を涵養しており、これらが、連携6大学の、今後の肝臓移植の医療レベル均てん化に資するところは大きい。小児肝移植を行う成育医療研究センターでの実習希望は多く、施設の特色が研修に活かされた。脳死肝移植に関しては、履修生の一人が臓器摘出にも参加し、技量向上に向けた経験を重ねるとともに、当該施設の医師の負担軽減にも有効であった。
コーディネーターコースに関しては、平成26年11月から活動を開始し、現職コーディネーターがカリキュラムの詳細を検討して具体的な案を策定した。これに則り、指導施設での履修生による実習や講演会が企画実行され、熊本大学では、本履修生が、専任コーディネーターに就任することが決定された。病理医のカリキュラムは平成27年度から始動することとなるが、多忙な病理医が参加しやすいように、webを使用したカリキュラムが具体的に検討されている。
本事業のHPでは、関係者専用ページにおいて、各施設の移植手術予定が俯瞰できるシステムを構築するとともに、熊本大学のサーバに蓄積した教材の手術動画、講演会内容などをHPにアップし、閲覧が可能となった。これにより、履修生の学習の利便性が向上し、施設によっては症例の少なさを補完させうる体制ができた。一般向けページでは、本事業の活動実績を写真付きで掲載し、本事業の情報発信ができた。
3月に開催した評価委員会においては、評価委員からカリキュラムへの意見や提案を受け、次年度に向けて質の改善に有意義であった。

<具体的な成果>

①各養成コース希望調査 参加者施設の調整
本事業は、大学の連携による肝臓移植を担う高度医療人の養成という初の試みであるが、履修生を決定したことによって、各施設の教育担当者の肝臓移植医療人養成への意識改革が進み、履修生がより円滑に事業に参加できる体制が整った。

②ファカルティー委員会、チューター委員会、コーディネーター(以下 Co)教育チームの発足、設立会議、教材準備開始、プログラム詳細策定、評価委員の選任
チューター委員会は、9月の日本移植学会の開催に合わせて開催し、教育内容の具体化についての検討を行った。10月のファカルティー委員会とチューター委員会の合同キックオフミーティングでは、実習の具体的な方法、豚を用いた臓器摘出シミュレーションや講演会など、カリキュラムの具体的内容についての紹介が行われ、カリキュラム内容の理解を深めた。評価委員については、日本移植学会、看護の専門家、有識の患者代表、肝移植医療の練達者、医師研修制度の専門家を選定し、このプログラムの評価における意義付けが明らかになった。コーディネーター教育チームは、カリキュラムの詳細な策定を行い、移植コーディネーター養成の具体化が明らかになった。

③広報連絡のためのHP設置 、調整を行う職員(准教授又は助教、事務補佐員)採用
専任教員と事務補佐員の雇用により、履修生と実習施設の調整等が円滑に進んだ。HPでは、一般向けページにおいて、本事業の活動実績を写真掲載する等情報発信を行った。また、履修生及び教育担当者向けの関係者専用ページにおいては、手術研修を重視する観点から、各施設での肝移植を中心とした手術予定をリアルタイムで把握できるスケジュール管理システムを作成した。これにより、各施設での手術予定を容易に把握できるようになり、履修生への教育機会周知のツールとして活用することができた。

④外科医養成コース及びコーディネーター養成コース開講 実習開始
外科医養成コースの履修生は、連携施設における実習に参加し、ファカルティー委員やチューター委員から直接技術指導を受け、履修生自身の手技習得に効果がみられた。1月の講演会では、移植先進国での外科医教育の一端を紹介され、海外実習コースの紹介もあり、海外での効率的な外科医養成システムを学び、各履修生の今後の学習に有用な情報が提供された。コーディネーター養成コースの履修生は、今まで自施設以外の業務を見聞する機会がなかったため、講演会への参加及び連携施設における実習が貴重な情報収集と勉学の機会となった。

⑤評価委員会開催
今年度のカリキュラム内容の紹介と、各履修生からの報告が行われ、その後、各評価委員から講評を受けた。その中には、もっと「六大学」の意義を深める取り組みを求めることや、実際に手術ができる外科医を育てるための方策としてカリキュラムに一層の工夫がいるのではないか、という意見もあり、次年度のカリキュラムについては今後改善を行うこととし、各大学の学長クラスへの理解をさらに深めるなどの工夫も提案され、次年度に向けて教育の質の向上に有意義であった。

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