平成29年度

平成29年度の総括

本事業の実績・成果 (文部科学省提出実績報告書から抜粋)

【本事業の実績】

平成29年度は、それまでの履修期間で定例化してきたカリキュラムを継続した。外科コースでは、施設間相互実習の継続、ブタを用いた肝摘出移植実習を2回開催した。全体会議でも希望が強く、これまで各施設が持ち回りで主催してきた講演会が一巡したこともあり、新たな企画として「Meet-the-Expert、静脈系血管吻合」を開催した。日本肝移植研究会では、主催者と企画段階から検討した共催セッションを企画した。連携大学である金沢大学の消化器外科が主催した日本消化器外科学会総会と日本臨床外科学会開催時に、これまで同様ISEMと共催したマイクロ動脈吻合ハンズオンセミナーを開催した。ESOTでの肝移植のコースへの参加、韓国での肝移植研修など、国外施設やプログラムへの研修を企画した。日本エイズ学会時に開催したHIV養成患者からの肝移植という希有な講演も共催し、履修生の肝移植の知識技能の涵養に務めた。本プログラムを国外にも周知して、国際的な評価を得るために、外科コースでは英語論文の投稿、コーディネーターコースでは、履修生の士気涵養も目的に、国際学会でのプログラム内容の公表を推奨した。病理コースでは、京都大学での対面実習の他、年度内にweb会議とvirtual slide systemを用いた供覧検討会を7回開催した。コーディネーターコースは1名の新規参加にとどまったが、対面やwebでの勉強会を全部で3回開催した。

 

〈具体的な実績〉

①連携大学主催の講演会・講習会の開催、学会等で共催企画を開催するなど、本事業の肝移植・臓器移植の領域への周知   
日本肝移植研究会(大阪)共催セッション 
1.シンポジウム1 私が考えるコーディネーターの魅力 -後進育成のために  
6月1日(木)15:45〜17:15
2.パネルディスカッション3 生体ドナーの適応に関するコンセンサスに向けて 
6月2日(金)14:00〜16:00    
3.第19回肝移植病理検討会 
6月2日(金)9:30〜11:00
Meet-the Expert セミナー 平成30年1月21日 13時〜16時
臓器移植フォーラム 平成30年2月24日             

②各大学で撮影した手術手技の動画や病理画像等、教材データを本事業で平成26年度に設置したサーバに蓄積し、履修生の自己学習に活用    
講演ビデオ 4本をアップした。 

③他施設における肝移植実習等、実地研修
本年度の他施設実習は、外科コースは延べ10回、病理医コース2回、コーディネーターコース5回行われた。

④豚を用いた臓器摘出・移植手術実習           
10月1日、2月18日の2回、神戸の施設で開催した。   

⑤国外で開催される、集中的な肝移植担当医療人養成講座や移植実施施設への派遣 
9月18-19日、ソウル大学実習、2月5-6日オランダにてESOT コース参加、11月27-30日 コーディネーターコースで、アジア移植学会(フィリピン セブ)にて発表、情報交換

⑥病理医・外科医履修生を対象としたweb会議システムを用いた講習会、検討会の開催 
本年度は、web病理検討会を、定例的に7回開催し、全連携施設から供覧標本をうけつけ、延べ20症例の検討が行われた。

⑦コーディネーター履修生を対象としたweb会議システムを利用した講習会、検討会の開催
8月6日 コーディネーター研修会(成育医療研究センター)
11月27日 web研修会(臓器移植に関する法律と倫理)    

⑧平成30年度の履修生の募集
平成30年度の履修生として、外科医コース2名、病理コース2名、コーディネーターコース2名の予定で連携施設に公募した。    

⑨ファカルティー、チューター、Co教育チームの会議等の開催
平成29年6月1日 日本肝移植研究会に際して、外科医、病理医、コーディネーター各コース合同の連絡会議を開催した。        

⑩全コース合同の委員会の開催
3月11日に全体会議を開催し、平成29年度の活動内容の報告、各履修生本人からの報告、平成30年度の活動内容の討議と承認を得た。
また、平成29年度で履修を修了した、外科医、病理医、コーディネーターコースの、全10名に履修修了証を授与した。    

⑪評価委員会の開催
3月11日に全体会議に際して、4名の評価委員が出席し、各履修生からの報告を含めた平成29年度の活動報告及び平成30年度予定への評価のコメントを得た。

 

【本事業の成果】      

外科医コース2期生6名中、留学開始となった1名を除く5名と、1期生のうち留学で修了延期をした1名の合計6名が今年度で履修を修了できた。また、コーディネーターも、昨年から継続した1名を含めて2名、また本年履修を行った病理医2名が、それぞれ1年コースの履修を完了できた。外科医に関しては、各施設まんべんなく履修修了者が継続して出ており、また、病理医は、昨年履修修了した4名とあわせて、症例が多く病理診断の需要も多い熊本、長崎、岡山、金沢で履修修了者が輩出され、またコーディネーターは長崎大学以外全大学で履修修了者が輩出されて、本プログラム全体の目的である、肝移植担当医療人の養成による増加、は果たすことができつつある。施設間実習や、ブタを用いたシミュレーションの継続的な実習の蓄積もあり、外科履修生の横のつながりは強固となり、情報交換にとどまらず、移植手術手技の修得における切磋琢磨が実行されている。また、肝移植病理の供覧会を継続して実施し、質の高い標準的診断に関するコメントをいただけることもあって、病理診断の施設間格差の解消に寄与している。講演内容や手術ビデオはHP上で教材として蓄積整備され、将来的に公開して、全国的な専門医育成制度に利用する素地ができつつある。
外科コースでは、施設間相互実習がやや低調であったが、2回開催したブタを用いた肝摘出移植実習には対象履修生がほぼ全員参加し、また、新たな企画として行った「Meet-the-Expert、静脈系血管吻合」にも、全施設から多くの履修生とチューターが参加し、一部履修生個人が行った手技のビデオも材料に、日頃の手術手技について、極めて基礎的なことから細かいノウハウまでを時間をかけて議論して学び会う機会となった。ISEMと共催したマイクロ動脈吻合ハンズオンセミナーは、本プログラム履修生以外の参加者に混じって履修生が参加し、主に肝移植における動脈吻合手技の向上において切磋琢磨する機会となった。ESOTでの肝移植のコースへはI期生中心に参加し、同時に開催国オランダの肝移植を学ぶ機会となった。韓国での肝移植研修は同国high volume centerの一つである国立ソウル大学で行われ、履修生2名が参加し、比較的安価な交通費に対して貴重な実習機会となった。外科I期生であった、岡山大学の高木先生により、Transplant Proceedings への投稿があり、海外にも本プログラムの内容が公表されることとなった。病理コースでは、定例のweb供覧会で各施設からの標本供覧をバーチャルスライドで共有し、京都大学羽賀教授に的確な診断をいただき、外科医にとっても貴重な研修の場となっている。また、京都大学での実習では、実際の肝生検の処理診断の仕方の細かいノウハウを修得することができた。コーディネーターコースは1名の新規参加にとどまったが、webでの勉強会のほか、評価委員に指摘されたモチベーションアップの一つとして、セブ島で行われたアジア移植学会に参加していただき、本プログラムの発表を行っていただいた。また、これまで、施設の負担を考慮して加わっていただけていなかった成育医療研究センターのコーディネーターにも教育担当として加わっていただき、小児肝移植特有の課題についての研修ができた。

                                       

〈具体的な成果〉

①連携大学主催の講演会・講習会の開催、学会等で共催企画を開催するなど、本事業の肝移植・臓器移植の領域への周知         
Meet-the-Expert セミナーを初めて開催した。手技の細かい点を、ビデオをもとに議論し、より良い手技の検討を詳細に行って、履修生の日常の手術手技向上に寄与した。周知期間が十分でなく、連携施設の関係者以外の参加はあったが、連携施設以外からの参加がなかった。共催プログラムは、肝移植研究会で設定したが、消化器外科学会では学会の意向で他団体との共催が許可されず、また日本移植学会においては、開催地が旭川で履修生参加に伴う主張旅費が課題になることが想定され、いずれも共催プログラムは設定しなかった。また、コーディネーターコースでは、第17回臓器移植フォーラムで、連携施設外の参加者とコーディネーター業務について勉強する機会を得た。

②各大学で撮影した手術手技の動画や病理画像等、教材データを本事業で平成26年度に設置したサーバに蓄積し、履修生の自己学習に活用 
平成29年度は新たに、ブタを用いた臓器摘出シミュレーションの前に行っている講演を記録してアップした。この記録の中には、日本臓器移植ネットワークのドナーコーディネーターにも参加いただき、手技のみではなく、我が国における摘出における手順や作法について講演いただいたものも含んでいる。また、ブタでの肝臓摘出やその移植の具体的手技についての講義もアップし、今後、これを実習前の予習として用いることを推奨した。      

③他施設における肝移植実習等、実地研修
外科医に関しては、事業開始4年となり、他施設での手術内容がお互いに共有されて新しいことを学ぶという点での魅力が各履修生にやや希薄になってきていることが懸念されるが、少ない回数でより細かい手技の修得に生かす報告があり、今後も継続を推奨する。実習後はe-ポートフォリオによるレポート提出が全例行われて評価ができている。病理コースでは、極めて多数症例を有する京都大学での2日間の実習で、標本の管理の仕方、典型的な間移植病理像の供覧、リアルタイムの肝生検診断の実際の経験、など、特に症例が少ない施設の病理担当には必須の研修が行われた。コーディネーターコースは、例年多忙による実習困難が上げられているが、今年度は当初の呼びかけもあって計画的で積極的な参加が得られた。

④豚を用いた臓器摘出・移植手術実習
ブタの実習は経費を要するため、本年度は1回を予定していたが、非常に履修生に好評で有意義なこともあり、計2回実施した。各6名、8名の外科履修生の参加を得て、各4頭のブタを用いて、臓器の摘出とその肝臓移植手技の実習を行い、下級生を上級生が指導医とともに指導する形態をとった。実際の摘出時の手順確認や手技の細部の修得に極めて有用で高い評価を得た。

⑤国外で開催される、集中的な肝移植担当医療人養成講座や移植実施施設への派遣 
9月に2名の外科履修生が教育担当者とともに、ソウル大学にて研修、2月のヨーロッパ移植学会(ESOT)での肝移植手術手技に関する実技セミナーに外科履修生が3名参加した。ESOTのコース参加者は引き続き、ライデン大学の肝移植を研修することができた。コーディネーターコースでは、11月のアジア移植学会に於いて、本プログラムの内容について発表するとともに、教育担当も同行して各国のコーディネーター教育の実状について研修を行い、本プログラムの教育内容を向上させる情報を得た。

⑥病理医・外科医履修生を対象としたweb会議システムを用いた講習会、検討会の開催
病理コース履修生は全検討会に参加した。病理コース履修生は、実際の臨床に即して外科医とともに供覧と診断を進め、最後にオーソリティーである羽賀教授からの確定的な診断を得た。極めて実際的な研修となった。また、長崎大学設置のvirtual slide systemは、ようやく安定して動作するようになり、各回の進行が円滑になった。

⑦コーディネーター履修生を対象としたweb会議システムを利用した講習会、検討会の開催 
多忙なコーディネーター履修生を対象にweb経由での研修機会提供のため、1回のweb研修会を開催した。また1回は対面で行ったが、これは新たに教育担当となった成育医療研究センターで、小児肝移植へのコーディネーターの対応を勉強するもので、実施の背景を学ぶための施設の見学なども同時に行う必要があり、実際に施設での開催となった。 

⑧平成30年度の履修生の募集
30年度履修生としては、外科医に3名の希望がある一方、コーディネーターは、今まで履修生が出ていなかった長崎大学の1名のみであり、予定通りの病理2名を含め、総数6名となった。本プログラムでの、特に外科医の育成の目的を重視し、この履修生内訳で最終年度に臨む予定である。

⑨ファカルティー、チューター、Co教育チームの会議等の開催
関係6大学のすべてから、各履修コースの医師看護師合計14名が参加し、本年度の各履修コースの予定紹介、e-ポートフォリオの提出方法についての再確認、Meet the Expert(仮称)の企画の具体案についての検討、などが行われて、関係者の情報共有とカリキュラムの向上に有用であった。

⑩全コース合同の委員会の開催
全体会議には、関係者あわせて47名が参加し、履修生は各自が平成29年度の活動を発表し、自己評価を行い、改善点、今後の留意点を含めて評価を得た。昨年度同様、バーチャルスライド作製を担当する長崎大学病理から、供覧標本送付時期などについての依頼と、アクセスの詳細について説明を受け、今後の円滑な利用に資するものであった。 なお、厚生労働省移植支援室担当者が来賓として招かれ、本プログラムを、外科医の研修に兼ねて、脳死臓器提供時の摘出チーム互助システムとして準用することが提唱された。

⑪評価委員会の開催
各履修生全員が報告を行う事によって、履修の進行を評価委員に詳細に認識していただくことができた。評価委員からは、平成29年度の活動性を評価する意見があったが、一方で、事業資金が限定される中で、より有効に実習を行うために、この連携六施設にとらわれない、連携施設外での実習も推奨された。コーディネーターコースに関しては、今年度、国際学会にコーディネーターが出席して本プログラムを紹介する機会が得られたことは画期的であるという評価をいただいた。   

ページの先頭へ