令和2年度

令和2年度の総括

履修生の声

外科履修修了生(V期生)1 
 2018年4月から第5期生として、履修を開始しました。
 様々な履修プログラムの中でも特筆すべきは、ブタを用いた脳死肝移植手術シミュレーションを福島で2度経験させて頂きました。履修生が少ないにも関わらず、たくさんの先生方に集まって頂き、摘出から再建まで濃密な指導を頂くという、大変贅沢な実習を行うことができました。これまで助手の立場で見ていた血管吻合を実際に経験することができ、充実感と同時に臨床で責任を持って術者として遂行するにはまだまだ厳しい道だと改めて実感しました。
 2018年9月には、ベルギーのゲントで行われたESOTのSplit liverコースに参加しました。2日間の座学と実際のヒト肝臓を用いた分割手技実習を経験させて頂きました。充実したコースであったことはもとより、他大学の履修生や世界で活躍する肝臓移植医の話が聞けたことは肝移植医療により携わりたいというモチベーションアップにつながりました。チャンスを頂いた関係者の方々には改めて感謝致します。
 またより実践的で臨床にfeed backできたこととしてWEB病理検討会が挙げられます。それぞれの施設で難渋している移植後の患者や周術期の悩む症例を共有でき、肝生検病理の基礎を学ぶことができました。他施設から貴重な治療方針の提案を頂くことも多々あり、COVID下でも遠隔で連携できる強さを感じました。
 「Meet the Expert」セミナーや、肝移植学会での共催セミナーなど他施設の取り組みや難症例の共有、手術手技の勉強に非常に有用でした。
 3年間を総括して、近い世代の各施設の先生方と交流することで、たくさんの刺激を受けました。肝移植医療に関わる様々な施設の取り組みや考えに触れることができたこと、実習を通し実践的な手技・理論を改めて一から学べたことが貴重な経験となっています。一方、COVID-19の影響により学会交流や、施設見学が最後の1年は大きな制約があったことが残念ではありました。しかしながら、手術見学にいくせっかくの機会を早い段階で活用できなかったことは反省点であります。
 期間を延長して履修終了まで暖かく見守って下さった猪股先生をはじめ関係各位に改めて感謝申し上げます。SNUC履修生であることに自信と責任を持って、次世代を担う肝移植医として、引き続き肝移植医療に携わっていく所存です。ありがとうございました。

外科履修修了生(V期生)2
 3年間の履修を終え、履修修了証を頂きました。まずは、事業責任者として、この「SNUC-LT」を率いて下さった猪股裕紀洋先生のご尽力に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
 今後の医者人生において、移植医療に携わっていこうと自分なりに決意したのは、スーパーローテートを終えようとしていた初期研修医2年目の3月のことでした。
 進路を悩みに悩んでいた私は、今思えば畏れ多くも、猪股先生のもとに単身乗り込み、長時間に渡って面談をして頂きました。正直具体的に何を話したのか良く覚えていませんが、、、とにかくそこで移植医療の世界に挑戦してみようと決意を固めたのだと思います。研修医なりにその選択の険しさを感じていたからこそ、身震いするような感覚を覚えました。
 そもそも移植医療に携わるなんて、自分では想像もしていなかったのですが、何となく'外科'という範疇の中で、猪股教授の小児外科・移植外科をローテートし、移植って、なんか、かっこいい、という何とも不謹慎で浅はかな考えを持つようになりました。でも今思えば、猪股先生方が移植を通して患者さんの人生を診ている、その誠実な部分に、知らず知らずに惹かれていたんだろうと思います。
 そのようなご縁の中で、このSNUC-LTに履修生として参加する機会を頂きました。3年の履修期間に、他施設手術研修や海外研修、Meet-the-Expert、学会、セミナーなど多くの貴重な経験をさせて頂き、とても刺激を受けたのは言うまでもありませんが、このSNUC-LTを通して、多くの先生方と知り合い、繋がりが出来たことが、実はかなり大きな収穫だったようにも感じています。
 そして、SNUC-LTにおける最後の、ブタを用いた手術実習に先日参加させて頂きました。実習という形ですが、初めて猪股先生を前立ちに移植手術を執刀させて頂く機会を得ることが出来ました。緊張のせいか、行きの新幹線では胸痛に苦しみ、開腹の際には電気メスの凝固モードと切開モードを間違えて使い続けるような状況でしたが、何とかドナーからの全肝摘出、レシピエントにおける全肝移植という一連の手技を経験することが出来ました。こんなに贅沢な実習を、少なくとも日本国内で経験したのは、私が初めてなのではないかと本当に思いました。実臨床では執刀経験がほぼないのですが、今後、この実習がきっと、自分のスタート地点として、意義深いものであったと改めて感じる時が来るのではないか、そうなるように努力しないといけないと感じたところでした。
 移植医療に挑戦してみようと決意して8年。ここからが本当のスタートです。

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